サンプルケース

破産管財人が破産会社A所有の不動産について権利放棄したため、その不動産は自由財産となりました。破産手続が終結し破産会社Aの会社登記記録は閉鎖されているのですが、今回、この不動産を買主Bに売却することになりました。

登記に必要な書類

売主(法人)に破産手続終結の登記がされている場合

  • ※所有権移転登記のみの必要書類を記載しています。
    その他の登記、例えば、売主の住所変更、抵当権抹消や買主の抵当権設定登記がある場合は、その登記に応じて別途書類が必要になります。詳しくは登記に必要な書類等一覧をご覧ください。

破産管財人が破産不動産につき権利放棄すると、当該不動産は破産財団から外され自由財産となります。権利放棄により破産管財人に処分権限はなくなり、その財産は破産者が自由に処分し得る自由財産となります。破産手続が終結するまでの間に当該不動産を売却する場合は、清算人が会社を代表して当該不動産を売却し、その所有権移転を登記申請しますが、本ケースのように破産手続が終結している場合は、売買契約締結に先立って、会社の登記記録を復活させる手続きが必要です。

破産管財人による権利放棄

破産管財人は、破産財団に属する財産につきみだりに権利放棄することはできませんが、訴訟中のもの、負担付きのもの又は保存に多くの費用を要するものなどについて破産財団外に置くのを適当と考えるときは、裁判所の許可を得てこれを権利放棄することができます。権利放棄後、その財産は破産者が自由に処分し得る自由財産となります。

破産手続開始決定と破産手続終結

会社が破産したときは、会社は解散し、会社の法人格は破産の目的の範囲内でのみ存続することになります。そして、破産手続が完了すると、裁判所から登記所に対して「破産手続終結」の登記が嘱託されます。この登記が完了すると会社登記記録は閉鎖されます。本ケースの破産会社Aはこの状態です。

破産手続終結後に自由財産である不動産を売却する手続き

本ケースのように、破産管財人が裁判所の許可を得て破産不動産を権利放棄し自由財産になった不動産があるにもかかわらず、破産手続終結の登記により会社登記記録が閉鎖されてしまった破産会社A名義の不動産を売却しようとする場合、誰がその行為をするのかが問題となります。会社の登記記録が閉鎖されているということは会社代表者もいないということですから、売買契約を締結することができない状態です。この場合は、会社の登記記録を復活させた上で、清算人が会社の代表者として売買契約を締結し、所有権移転登記を申請します。

この清算人には元破産管財人が就任することが多いようですが、本来の清算人と異なり、清算業務全般を行うのではなく、売買取引とこれに付随する業務のみを遂行し、基本的に取引の完了後、清算人を退任します。

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