信託土地上に建物を建築する場合

サンプルケース

受託者である信託銀行Bが、委託者(受益者)Aの土地の上に信託財産として建物を建築し、
その建物を第三者Fへ賃貸することにより、信託財産である土地と建物を運用します。

登記に必要な書類等

※所有権保存登記のみの必要書類を記載しています。

信託土地上に建物を建築する場合

信託事業の流れ

信託土地上に建物を建てるときには、受益者と受託者が、土地信託契約書に基づき、工事請負業者等(本ケースでは工事請負人D)の選任、工事請負代金の額および支払方法・工期等を協議します。
受託者は、信託の目的達成のため、つまり、信託期間満了後に土地および完成した賃貸ビルを受益者に引き継ぐことを目的として受益者のために働くことになります。具体的には、金融機関(本ケースではC銀行)から調達した資金を賃貸ビルの建築代金やテナント募集費用等に投資をし、また、その賃料収入から借入金を返済したり賃貸ビルの保存・改良等経費を捻出しながら信託事務の処理をします。
そして、受益者は、信託期間満了後、受託者から土地および建物の引継ぎを受けることにより、自ら煩雑な諸手続きをすることなく、信託期間満了後に賃貸ビルのオーナーになることができます。
なお、受益者は受託者に対し、信託事務処理の状況等の報告を求める権利を有し、受託者は報告すべき義務を負います。

信託財産の物上代位性

信託土地上に建築された建物は、信託財産である土地を担保として借り入れた建築資金が建物に形を変えたものであり、新たな財産であるこの建物は当然に信託財産を構成することになります。

建物の登記

①  表題登記
受託者は受託者の名で、信託事務処理の一環として工事請負人と建築工事の請負契約の締結等をすることとなります。つまり、建築工事請負契約の当事者は、注文者である受託者と請負人である工事請負人となります。したがって、建物の表題登記は信託財産として受託者が申請します。実質上の所有権者は委託者兼受益者ですが、建物の表題登記は受託者が所有者として登記されます。
②  所有権保存登記
表題登記完了後、受託者は所有権保存および信託登記を申請します。当該不動産が、受託者の固有財産ではなく信託財産であることを公示するために、登記申請書には、登記の目的を「所有権保存および信託」とします。単に所有権保存登記と申請すれば、受託者の固有財産としての登記となってしまいますので、注意が必要です。
この所有権保存登記の添付書類は、代理権限証明情報(委任状等)、住所証明書(個人であれば住民票等、法人であれば会社謄本)、登記原因証明情報(信託契約書等)、信託目録です。通常、所有権保存登記は登記原因証明情報の添付を要しない登記手続ですが、信託登記は、登記原因証明情報を添付する必要があるため、この所有権保存登記では登記原因証明情報の添付が求められます。

建物の追加信託

上記のような、当初委託者が信託財産として土地のみを提供し、建物は受託者が名義人となって建築する方法の他に、土地を信託した後で、当初委託者の自己資金で建物を建築し、追加信託する場合もあります。この場合、建物の名義人は当初委託者となるため、まず当初委託者名義で建物表題登記および所有権保存登記をし、その後、当初委託者が登記義務者、受託者が権利者となり所有権移転登記および信託登記の申請をすることになります。このような場合は、委託者と受託者は、建物追加信託契約を締結することになります。

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