担保権者による差押登記がある不動産の任意売却

サンプルケース

担保不動産競売による差押登記がされている不動産を任意売却しました。
売買に当たっては、差押登記を抹消して所有権の移転を行います。

登記に必要な書類等

※所有権移転登記のみの必要書類を記載しています。
その他の登記、例えば、売主の住所変更、抵当権抹消や買主の抵当権設定登記がある場合は、その登記に応じて別途書類が必要になります。詳しくは登記に必要な書類等一覧をご覧ください。

担保権者による差押登記がある不動産の任意売却

担保権者の競売申立により差押登記がされている不動産について、利害関係人全員の合意で任意売却することになったため、競売申立てを取り下げて差押登記を抹消し、所有権を移転するケースがあります。このような任意売却の場合、競売手続が関係するので、通常の不動産取引とは異なる部分があります。

任意売却の意義

任意売却とは、借入金の返済が困難になった場合に、競売手続によらずに売主・買主・担保権者等の利害関係人全員の合意により当該不動産の売却を行い、売却代金を売主・担保権者等に配分することをいいます。
任意売却の場合、市場取引価格に近い金額で売却することができるため、通常の競売手続に比べ、売主や担保権者はより多くの金額を得ることができる上に、利害関係人全員の合意が成立すれば通常の競売手続に比べ、より短時間で売却することができるため、担保権者も早期の債権回収が可能となります。
他方で、任意売却を行う場合、競売手続であれば配当がない後順位担保権者も含めて利害関係人全員の同意を得る必要があるため、場合によっては後順位担保権者にいわゆる「ハンコ代」を払う必要も生じます。また、任意売却では、売却代金や配分方法について売主・買主が通謀して利得を隠すおそれがあるため注意が必要です。

任意売却の時間的制限

競売申立中の不動産を任意売却する場合は時間的制限がありますので、その期限を把握することが重要です。競売申立中の不動産の任意売却の期限は、「開札期日の前日まで(期間入札方式の場合)」と考えるべきです。したがって、開札期日の確認が必須となります。
競売の方法は、期間入札と競り売りの方法が定められていますが、実務上、原則的には期間入札の方法によります。期間入札とは、一定の期間を入札期間として定め(1週間以上1か月以内の期間。東京地裁民事執行センターでは原則8日間)、その期間内に買受申出人から入札を受付け、開札期日に最高価買受申出人を定める手続きです。

競売申立取下書の確認

①  取下書に押印する印鑑
取下書に押印する印鑑は、競売申立書に押印した印鑑と同一の印鑑を押印するか、又は印鑑証明書を提出して登録印を押印します。なお、保証会社等が差押債権者の場合は、その社員が許可代理人として競売手続を行っている場合も多く、その場合、取下書には登録印ではなく許可代理人の押印がなされますので、前者の場合が多いものと思われます。印鑑証明書が添付されるケースであれば、印影確認を行えばよいのですが、競売申立書と同一の印鑑を押印する場合には、債務者等を通じて執行裁判所に申立書を謄写してもらい確認するか、又は差押債権者が執行裁判所の受理印付申立書の写しを保管している場合は、これを取得する方法などが考えられます。
②  差押債権者に一部承継があった場合
競売開始決定後に差押債権者に一部承継があった場合に、当初からの差押債権者が事件全部を取り下げる場合には、取下書を一部承継人と連名とするか又は一部承継人の同意書(印鑑証明書付)を添付しなければなりません。

取下書の提出

司法書士は、決済当日に確実に取下書が提出されるかを確認する必要があるので、差押債権者が提出する場合はこれに同行するか、又は司法書士が取下書を預かり自ら提出することが一般的です。

裁判所書記官の嘱託による差押抹消登記

適法に取下げがされると、裁判所書記官は「年月日取下」を原因とする差押登記の抹消嘱託を行います。抹消嘱託は、裁判所から法務局に郵送されるため、登記の受付年月日は代金決済日から数日ずれるのが通常です。したがって、登記完了もその分、時間を要することになります。

債権者代位による相続登記

差押登記に先立ち、債権者代位により法定相続人全員への相続登記がされている場合があります。この場合、相続人には登記識別情報が通知されないことから、本人確認情報の提供が必須となります。

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