資産管理法人(合同会社)の設立

プロローグ

巷では資産管理法人を利用した節税に関する情報が多くあります。
資産形成ステージにおける所得税等の節税だけでなく、資産承継ステージおける相続税対策についても、
法人を設立し不動産を所有させるメリットは多くありそうです。
また、最近は、資産管理法人として株式会社ではなく合同会社を設立するケースが多く見受けられます。

合同会社とは

合同会社は、平成18年の会社法改正において、持分会社の1形態として誕生しました。平成25年の会社設立件数は、株式会社が10万件弱なのに対して合同会社は1万5000件弱となっています。低コストで運営ができ会社内部の規律についても自由度が高い合同会社は、資産管理法人等のプライベートカンパニーに適した会社であると言えます。

合同会社のメリット(株式会社や個人事業主と比較して)

会社設立時の費用
株式会社の場合の司法書士報酬を除いた費用は20万円程度(登録免許税15万円と公証人の定款認証手数料5万円)なのに対して、合同会社の場合は、公証人による定款認証が不要なので、司法書士報酬以外の費用は登録免許税の6万円程度です。
役員変更登記の費用(会社運営の費用)
合同会社の社員には任期がないので、役員変更登記の費用が定期的にかかるということがありません。株式会社の場合は、取締役の任期は最大伸長しても10年なので(会社法上の原則である2年としている会社も多いです)、定期的に役員変更登記の費用がかかります。
決算公告の義務がない(会社運営の費用)
株式会社には毎年決算公告をする義務があり、それについての費用や手間がかかります(官報公告をすると数万円かかります。)。合同会社には決算公告の義務がないため、費用面でメリットがあり、さらに、決算を公にしたくない人には心理的なメリットもあります。
意思決定手続きの簡略化
合同会社の社員は、株式会社でいうところの株主と役員の両方の地位を兼ねていますので、出資者自らが業務執行(会社経営)を行うことになり、意思決定までの手続きが簡略化できます。具体的には、株式会社のように株主総会等を定期的に開催する義務はなく、取締役会や監査役、会計監査人等を置く必要もありません。
有限責任
持分会社の他の形態である合資会社と合名会社の無限責任社員や個人事業主の場合は、事業が破綻したり、倒産等に陥った場合には、社員または個人事業主はその債務について無限に責任を負いますが、合同会社は株式会社と同様に、出資の範囲内での有限責任にとどまります。
税金
個人事業主には所得税が課税され、合同会社や株式会社には法人税が課税されます。利益が大きくなると、法人税の税率の方が有利とされていますし、一般に法人の方が経費として認められる範囲が広いとされているので、税制上有利となる場合も多いと言えます。

合同会社のデメリット(株式会社や個人事業主と比較して)

人的信頼関係に支障が出ると大変な事態になる可能性が高い
合同会社における意思決定は、出資比率に関係なく、1社員1議決権が原則です。特に、定款変更については、原則として社員全員の同意が必要となり、一部の者との関係が悪化すると、意思決定が困難になる可能性があります。したがって、社員の加入(パートナー選び)については、慎重に検討する必要があります。
これに対して、株式会社の株主は持株数に応じた議決権を有するので出資比率が高い者の決定権が強くなります。個人事業主に至っては個人自身で決定することができます。
知名度など
株式会社と比べると知名度が低いという点と代表者は代表取締役ではなく代表社員や社長という肩書になります。この点をデメリットと感じる方にとってはデメリットとなってしまいます。

合同会社から株式会社への変更

社員全員の同意があれば、株式会社に組織変更することが可能ですので、株式会社に変更する必要が生じたら、株式会社に組織変更をするのもひとつの方法です。

合同会社の設立手続きの流れ

下記の①から⑧登記申請までは、最短で3日程度です。⑨登記申請後、10日程度で⑨登記完了します。

①会社の基本事項の決定

お客様にて、下記の基本事項について決めていただきます。基本事項は、定款の絶対的記載事項および会社設立の登記事項を含みます。

ア) 商号
「合同会社」の文字を商号の前、中、後のどこかで用いなければなりません。また、お客様が設立しようとしている本店所在場所に他の会社が既に同じ商号で会社を設立している場合は、この商号を使用することはできません。本店所在場所が異なる場合でも、他の会社と誤認させるような不正な目的をもって、他の会社と同一の商号を用いることはできません。
「商号に使用できる文字・記号」
・漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(大文字ABC・・・Z、小文字abc・・・z)
・アラビア数字(0123456789)
・符号 「 &(アンド) 」 「 ‘ (アポストロフィー)」 「 ,(コンマ)」 「 ・ (中点)」 「 .(ピリオド)」 「 - (ハイフン)」
※符号を用いる場合は、文字を区切る際の符号としてのみ使用することができるので、商号の先頭や末尾には使用できません。ただし、「 .(ピリオド)」だけは、省略を表すものとして商号の末尾に使用できます。
イ) 目的
目的とは、会社の行う事業内容のことです。会社は、登記された目的の範囲において法人格が認められるので、目的の範囲外の事業を行うことはできません。将来的に行う予定がある事業も記載することを検討したほうが良いでしょう。
不動産購入資金を金融機関から融資を受ける場合は、目的の範囲を狭く設定するケースがあります。広範囲な事業を展開し経営状態が悪化することを懸念してのことでしょうか。資産管理法人の場合の最低限の目的は以下のようなものになります。
1.不動産の売買、管理、賃貸及びその仲介
2.前号に附帯関連する一切の事業
ウ) 本店所在場所
エ) 社員
合同会社においては、出資者を社員と呼びます。社員は従業員ではなく会社所有者です。ちなみに、株式会社における出資者は株主です。社員は1名以上いれば合同会社を設立することができます。未成年者や成年被後見人等、さらに法人も社員となることができます。
合同会社の社員は各々が、出資をし、会社の業務を執行し(業務執行社員)、会社を代表する(代表社員)のが原則です。
したがって、合同会社の社員は、出資をし会社の経営にも参画する人なので、株式会社でいうところの、株主兼役員のイメージです。
しかし、出資はするけど業務執行はしたくない人もいますし、社員全員が会社を代表すると対外的に混乱を生じることもあります。そこで、下記のように3種類の社員を定款で定めることができます。小規模な合同会社では、Aを定めずBとCだけを置くケースが多いと思います。
なお、会社の登記記録において、Aは登記されず、Bは氏名が、Cは氏名住所が登記されます。
A) 社員:出資をするだけで通常の経営(業務執行)の意思決定には参画せず、定款変更等の重要な決議だけ行います。株式会社における株主のイメージです。
B) 業務執行社員:出資をし、かつ、会社の経営(業務執行)の意思決定を行います。株式会社における株主兼役員のイメージです。
C) 代表社員:会社を代表する社員です。株式会社における代表取締役のイメージです。
オ) 社員の出資の額
各社員ごとに出資額を決めていただきます。一般的には金銭を出資しますが、動産・不動産・有価証券等の現物出資も可能です。なお、合同会社以外の持分会社である合名会社と合資会社においては、労務や信用を出資の対象とすることができますが、合同会社においては労務・信用の出資は認められず、金銭その他財産の出資に限られます。
カ) 資本金
出資された金額の範囲内で、業務執行社員が資本金の額を決めることができます。資本金は1円から設立することができますが、資本金1円では会社実印さえ作ることができませんし、対外的信用という観点からも現実的ではないかもしれません。
例えば、事業の収益があがるまでの運転資金を資本金とするという決め方もあると思います。なお、資本金1000万円以上で設立すると、初年度から消費税の課税業者となりますが、資本金1000万円以下の場合は2年間は消費税が課税されません。
キ) 合同会社の存続期間
存続期間を定めた場合、会社は存続期間満了時に終了します。実際には、存続期間を定める会社は少ないと思います。
ク) 公告方法
公告方法を、官報に掲載する方法、日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告による方法の3つから選択していただきます。一般には、官報に掲載する方法を選択する会社が多いです。合同会社は決算公告をする義務がないので、公告を行うことは少ないと言えますが、資本金の額を減少させる場合では公告をすることがあります。
ケ) 事業年度
「当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする」などの形で事業年度を決めていただきます。

②会社のその他事項の決定

会社のその他事項について決めていただきます。①と異なり、この事項は任意ですので、必ずしも定める必要はありませんが、定めるメリットもありますので、検討した方がよいでしょう。

コ) 社長を置く旨の定め
定款に社長を置く旨の定めをすることで、代表社員の肩書を「社長」とすることができ、名刺に社長と記載することもできます。この定めがない場合は、代表者の肩書は「代表社員」となります。
サ) 相続による持分承継の定め
下記のような相続による持分承継の定めがある場合は、相続人は、他の社員の同意を得ることなく、死亡した社員の持分を相続することができ、合同会社の社員となることができます。この定めがない場合は、相続人は持分を承継することができず、会社の社員が故人1人の場合は、会社は解散することになります。
「当会社の社員が死亡した場合には、当該社員の相続人は、持分を承継して社員となることができる。」
資産管理法人の承継についての詳細は、資産管理法人の承継ページをご覧ください。
シ) 法定退社事由の除外の定め
後述の社員の法定退社事由から、「破産手続きの開始」と「後見開始」を除外することができます。除外した場合、ある社員が破産者や成年被後見人になっても退社することなく社員としての地位を有し続け、報酬等を受け取ることができます。

③会社実印のご用意

お客様にて会社実印をご用意いただきます。会社実印は、その大きさが1辺1~3cmの正方形に収まるものであればよく、商号等の記載は必須ではないので、必ずしも新たに実印を作成しなければならないということではなく、お手持ちの印を使用することも可能です。

④社員の印鑑証明書の取得

出資をし社員となる方の印鑑証明書を市区町村にてご取得いただきます。

⑤定款の作成および確認

当事務所にて、①②の事項を基に、定款を作成いたします。内容をご確認のうえ、面談時に社員の方全員にご署名ご捺印をいただきます。参考までに、定款には電子定款と書面定款があり、定款を書面で作成した場合は4万円の収入印紙を貼付する必要があります。当事務所では電子定款で作成しますので、収入印紙代は不要です。

⑥出資金の払い込み

出資者にて、定款の作成後、出資金の払い込みをしていただきます。この時点では会社名義の口座がないので、出資者の中の代表者の預金口座に他の出資者が出資金を振り込みます。現在ある口座を利用しても結構です。振込名義人と出資金が通帳に印字されるように、各出資者ごとに別々に振り込んでください。口座名義人である出資者は振込ではなく預け入れで構いませんが、当該預金口座にあるお金を出資金とする場合は、一度引き出して新たに預け入れてください。

⑦委任状等への調印

当事務所が作成した定款や委任状等の登記に必要な書類にご調印をいただきます。会社実印および出資者の個人実印と印鑑証明書をご用意下さい。この際に、併せて本人確認をさせていただきますので、本人確認資料のご用意もお願いします。

⑧登記費用のお振込み

設立登記の申請までに登記費用のお振込みをしていただきます。

登録免許税
資本金の0.7%です。ただし、これによって計算された金額が6万円未満の場合は、一律6万円です。資本金が857万円位までの場合は6万円となります。
司法書士報酬
5万円を基本報酬とし、内容の簡難や顧客ステータス(ゴールドor プラチナ)によって増減しますので、お見積りは別途お問い合わせください。

⑨設立登記申請

各書類が揃い、登記費用の入金確認後、登記申請をいたします。

⑩設立登記完了

登記申請後、10日程度で登記が完了します。完了後に、会社謄本、印鑑証明書、印鑑カードをご郵送いたします。

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